2016年8月1日の読売新聞の感想
食卓に響く軍艦マーチ
阿川佐和子さんが、父で作家の阿川弘之さんについて語った記事。学生時代に戦争を経験し、復員した阿川さんは、一にも二にも厳しい父親だったそうです。
阿川弘之さんという作家をきちんと意識したことはなかったのですが、高校のとき家の本棚にあったので何となく読んだ「雲の墓標」という小説が、強く印象に残っています。特攻隊のある兵士の日記で、戦時の様子が主観的に、それゆえ落ち着いた雰囲気で(語り手が落ち着いた様子だったので)描き出されていました。「死にに行くまで」を描いているので、読後には、最終ページに至るまでに書き出されたなんてことのない日常のことがまぶしく感じられたのを覚えています。
読売歌壇・俳壇
今週はこれが好きでした。
レジ待ちて五キロの米を抱きかかえいつしか揺らす育児の記憶
心の深層に刻まれていることが、普段のちょっとした営みで呼び起こされること、ありますよね。
俳句はこれです。
対岸の人も対岸見て蛍
(大阪府 池田寿夫さん 選者:矢島渚男さん)
夜に電灯をもって歩いていたら、対岸に見つけた光、蛍かと思いきやそれは対岸を歩く人の電灯だった、と。ユーモラスで好きでした。
おわりです。