読売新聞の感想

読売新聞を読んで思ったことを書きます。

2016年11月1日の読売新聞の感想

時代の証言者 エイズと闘う 満屋裕明3⃣

 エイズの薬を開発した研究者 満屋裕明さんのこれまでを語るコーナー。満屋さんは、熊本大学を卒業して医師として患者を診察しながら免疫の研究をしていましたが、教授の勧めでNIH(アメリカ国立衛生研究所)へ留学します。今回は、NIHの研究環境について書いてあり、驚きました。良い意味で。

 当時の日本では

 ①実験に使う試薬をアメリカから取り寄せるので手に入れるのに1,2か月かかる。値段も4倍ほど

 ②実験器具のピペットやフラスコは洗って加熱滅菌→冷却が必要

 ③培養液はフィルターでろ過して調製する(2日前から準備する)

という手順が必要でしたが、NIHでは

 ①アメリカなので試薬が来るのが早い

 ②器具は使いすて

 ③培養液は無菌の瓶に入れてNIH地下のスーパーで販売。さらに必要な酵素試薬も自販機でコーラのように購入可能

 自分の経験からいうと、現在でも日本では器具は使い捨てではないし、培養液も自分で作っています(大学だからかな?企業やちゃんとした研究機関なら違うかもしれません)。海外の先進的な大学には、テクニシャンがいて、実験に必要なものの準備はやってくれたりするそうですし、フラスコなどは使い捨て、もしくは洗う専門の人がいるそうです(聞いた話なので別に一般的ではないのかもしれませんが)。考え方としては、「研究に従事する人の時間はフラスコを洗う時間よりも貴重で価値がある」というような感じだそうです。

 満屋さんは、この環境で日本では3日で1回の実験であったところを3日あれば6~9回もできて論文もたくさん出せたと書いています。これほどの環境はNIHだからこそではあると思いますが、それにしてもうらやましい気持ちになりました。まぁ自分はもう研究してないのでうらやむ立場でもないのですけど。

 

臓器移植 伸び悩む日本

 日本では臓器移植の件数がかなり少ないそうです。国際移植学会が2008年「イスタンブール宣言」として、臓器移植はなるべく国内で、その国の人同士で行いましょうという指針を示したそうですが、日本人は依然として海外での移植が多いそうです。数字で見るとかなり圧倒的で、スペインを筆頭としてベルギー、アメリカ、フランスでは100万人当たり25人以上のドナーがいる一方、日本は0.7人と非常に少なくなっています。

 ただ、やはり臓器移植という術式の性質上、問題が多いそうです。たとえば、1968年の和田移植事件というのがあります。これは臓器提供者の脳死判定に不透明さがあり、執刀した医師が殺人容疑で逮捕されるという事件です。ほかにも子どもの臓器提供では、その子の死に「少しでも」虐待の可能性があれば臓器移植は不可能という縛りがあるそうです。さらにもちろん、臓器移植は脳死や死亡直後の臓器が必要なため、医師も感情的に勧めがたいという問題もあります。そういった事情でドナー数が少ないのが日本の現状だそうです。

 とはいえ、改正臓器移植法が施行された2010年から16年まで、脳死での臓器提供者の数は増えているというデータも記事にありました。(2010年30人ほど→2015年55人ほど、2016年10月末現在で52人)

 現状そこまで進んでいないけど、少し仕組みを工夫すればきちんと機能するようになるのではないかなぁという印象を受けました。

 

 変わる大学のミス・コンテスト

 大学のミスコンの現状を知らせる記事。セクハラに当たるといった声があったりどこかの大学のミスコン運営本部が不祥事を起こして中止になるなどの問題も見られる中、今の潮流を紹介しています。

 関西大学のミス・ミスターコンでは、商店街の飲食店を男女ペアになって食レポすることで地元への貢献を兼ねたPRをしているそうです。日大芸術学部では、ミスコンの応募者に性別の枠を取り払い、男女を同じ土俵で戦わせたそうです。長縄跳びや箱の中身はなんじゃろなゲームでのリアクションなど多角的な評価軸を用意したといいます。大阪大学では、「容姿を判断基準にするのはセクハラだ」との指摘を受けたことから内面の魅力に焦点を当てたコンテストが開かれるそうです。

 このようなミスコンのあり方について、一橋大学特任教授で臨床心理士の方は次のようなコメントを寄せています。言いたいことがあるので全文引用します。

個性や能力を重視するといっても、外見も審査対象とするなら、女性の商品化につながるという点で従来のミス・コンテストと変わらない。外見は一切関係なく、例えば弁舌、表現、リーダーシップ、問題解決などの力が優れているかを競わせる方が、その大学らしさを一番持つ人を選ぶ本来のコンテストではないか 

  僕はミスコンのようなものは全然面白く感じないのですが、このコメントのようになるとさらに面白くなくなると思いましたし、それならやらないほうがいいとさえ思います。いわゆるポリティカルコレクトネスというやつだと思うのですが、ある分野における圧倒的な力を封殺しようとする動きには違和感を禁じえません。こんな風に「外見の美を競うことそのものがおかしいです」と言ってしまったら、それを強みにしたい人の機会を奪うことにはなりませんか。それは本当に平等なのですか。芸能界というものが存在して、それが大きな経済を作っていることはどう考えているのでしょうか。

 外見の美は生まれつき決まっていて、努力が関係ない「気がする」から批判しているということはないでしょうか。弁舌や表現、リーダーシップを競うというのは、訓練で身につく「気がする」から言ってるだけでは?なんでどれだけ足が速いかとか、どれだけ重いものを持てるかとかは言わないのでしょうか。

 美しさを維持することには、気を使わなければならない部分も多々あるだろうと思いますし、なにより参加者は志願して参加しているわけです。そこをしてコンテストの存在そのものが最悪、みたいな感情論をおかしな理屈で固めたつまらない意見を当てるのは変だと思います。生まれつき優れている部分を競争に使うのは良くないという主張をするのは弱者の負け惜しみのように見えて逆にかっこ悪いと思います。

 それと、その大学らしさを~などと主張するのであれば、大学豆知識クイズ大会を開けば大学らしさがにじみ出るのでは。全く面白くないと思いますけど。

 そして最後に、このコメントのように努力すれば身につく「気がする」ことばかりを評価軸にする動きが極端になれば、「評価が低いのは努力が足りないからですからもっと努力しなさい」と言われて声もあげられずつぶれていく人がたくさん出て最悪な世界がやってくるとさえ思います。

 

おわりです。

2016年10月31日の読売新聞の感想

氷河期世代を正社員化

 就職氷河期だった1990年代後半から2000年代前半に高校・大学を卒業して、現在は無職だったり非正規社員の人を採用した企業に助成金を出すことを政府が決めたそうです。条件を細かく言うと「過去10年に5回以上の失業や転職を経験した35歳以上の無職や非正規社員」とのことです。中小企業で年額60万円、大企業で50万円だそうです。また、一気に支給するのではなく、定着度を見極めるために勤務開始から半年後と一年後の二回に分けて支給するようです。政府はこれをインセンティブとして、正社員で働ける人を増やしたいという考えだそうです。

 自分が経営者だったらそれっぽちの支給でそんなリスキーな採用をしたくならないなぁと思いました。

 

社説 調査捕鯨

 捕鯨に関する日本の立場について書いてありました。調査捕鯨は大切だとして、多角的な目線で論を展開していかなければならないということでした。

 びっくりしたのは、「商業捕鯨の停止で増えたクジラがサンマなどの魚をたくさん食べて、漁業資源を圧迫しているという指摘がある」という記述です。やっぱり世界のいろんなことは影響しあっているのだなぁと思いました。

 あと、なんで海の哺乳類って特別視されがちなのかなぁと思いました。

 

読売歌壇・俳壇

 今週はこの歌が好きでした。

 雨でしたひとつひとつもそれぞれもあなたに濡れる意気地のなさも

 (枚方市 久保哲也さん 選者:俵万智さん)

 「ひとつひとつもそれぞれも」のリズム感が好きでした。黒い曇り空から雨が落ちてくるところからその粒ひとつひとつに目が移り、つづいて目を下へ移したときに雨に濡れた男性が涙を落とす、という映像の流れが思い浮かびました。そして、結句の「意気地のなさも」は通常の文末と異なっていて一句目に続けることができるので、ぐるぐるとめぐる後悔の気持ちも自然と表現されているような感じがしました。全体的にネズミ色の寂しげな風景ですが、僕はネズミ色の寂しげな風景が好きです。

 

 俳句はこれが好きでした。

 トンボさへ仲良きことは美しき

 (土浦市 今泉準一さん 選者:矢島渚男さん)

 つながったトンボがすんすんと空をいく夕方の、オレンジの景色がありありと広がりました。仲良きことは美しき。その通りだと思います。

 

取材せず逸話捏造

 中日新聞が連載していた貧困についての記事に捏造があった、ということで、中日新聞は30日の朝刊に社内調査に基づく検証記事を載せたそうです。青山学院大のメディア倫理の教授・大石康彦さんは、「取材ができていないのになぜ上司が原稿を通したのかといった問題に踏み込んでおらず、不十分だ」という意見を寄せています。上智大のメディア論の教授・音好宏さんも、「検証記事は再発防止策に触れておらず、全体として認識が甘い印象を持った」という意見だそうです。

 僕がもし中日新聞を購読していたとしたら、即刻購読を取りやめるなぁと思いました。

 

おわりです。

2016年10月30日の読売新聞の感想

国境離島 住民運賃下げ

 来年度から、政府が国境近くの離島に住む住民の航路・空路の交通費を、「同じ距離をJRで移動したときの運賃並みに引き下げる」ように支援するそうです。「地域社会維持推進交付金(仮称)」という名前だそうです。引き下げ対象は人の移動や、決められた物資の物流コスト、ガソリン代なども入っているようです。

 離島の人口は1955年の約99万人から2010年の時点で約42万人まで減ってしまっているそうです。国境近くの離島の無人化が進むと、排他的経済水域を巡って安全保障上の問題が出るといいます。たとえば尖閣諸島では戦前盛んだったカツオ加工が撤退し、無人化。中国公船の領海侵犯が相次ぐ事態になっています。

 わー、そういう問題あるよな、という完全に平和ボケした思いを抱きました。人住んでないと監視もできないし、漁船操業しないのももったいないですもんね。でも地方の過疎化がバリバリ進んでいるし、離島の人口減少もむべなるかなといったところですね。

 通信技術が発達していて、情報のやり取りは非常に簡単にできるようになっています。でも、電話やテレビ通話よりも対面でやり取りできるほうがやっぱりスムーズにことが運ぶし、得られる情報も活きている気がする、という感覚が僕にはあります。多くの人がどうかはわかりませんが。この感覚の解消は、地方の過疎化解消のカギになるのではないかと思っています。と書いていて気になったので離島のインターネット環境を調べてみるとまだかなり広がる途上のようです。本土に近いところから光が敷設されつつあるそうですが、国境離島となるとまだまだでしょうね。

 そりゃあ人は住まなくなってしまうだろう…という気持ちがすごいです。

 

読者投稿 おいしい食事とは?

 46歳の会社員女性の投稿。テレビでは芸能人がおいしいものを食べていて、ネットでも「おいしいものを食べました」という投稿があふれ、飲食店は「テレビに取り上げられました」とPRしている。私にとっておいしい食事とは、気心の知れた人と楽しく、心で食べること。この秋もおいしい食事で心の健康アップといきたい。とのことでした。

 僕はおいしいものが好きですが、投稿者さんと同じような感覚があります。僕の場合は一人でも、大体何食べてもおいしいのでちょっと違うかもしれませんが。食べ物を売るにはやっぱり、投稿にあるようなPRをするほかないのが難しいところですね。人間の胃袋には限界がありますし、全てのものを食べてみるわけにいかないから目立つものから選んでいくしかないし。多様性があるのも困るものですね。

 

がん免疫治療剤「オプジーボ」 なぜ高額?

 医療費の高騰はいつも喫緊の課題です。その中で今話題なのは、オプジーボという薬の価格が破格であることです。

 オプジーボは小野薬品工業が開発した抗体医薬で、一般に抗体医薬は割高になります。そしてそれに加え、薬価決定のタイミングでは保険適用の病気が皮膚がんだけで、想定患者数が少なかったのです。想定患者数が多いほうが安くなるので、高い価格で決まってしまいました。しかし、薬価確定後に肺がんや腎臓がんで保険適用されるようになり想定患者数が30倍以上にもなったものの、確定した薬価の見直しをする制度がなく据え置きになってしまっているそうです。

 ほかにもいくつかの「ヒット新薬」があり、制度の策定が急がれます。とはいえ安くすれば製薬会社のうまみは減り、抵抗は必至。製薬会社も安泰な業界でもないのでそのバランスをとったうまいところを探さなければならないということです。

 薬価の問題はかなり深刻っぽいですね。開発の苦労はすさまじいものだということを僕は勉強してきているので、それ相応の利益は担保してあげないと製薬会社がつぶれてしまうという感覚が強くあります。でも、患者や政府の立場もわかりますし、納税者としては医療費が安く済んでくれるほうがありがたいとも思います。ただ、記事を読んで薬価変更の仕組みがないのはやっぱり問題だし、今は互いの利害をすり合わせて議論していくしかないですね。

 

満月 地震に影響?

 東大の井出哲教授(地震物理学)らのチームが、巨大地震は満月や新月の前後に起きやすいという説をnature geoscienceに発表したそうです。これまでに起きたM5.5以上の地震のデータを集めて解析すると、統計的な傾向が見いだされたそうです。新月、満月の時は地球、月、太陽が一直線に並ぶので引力が大きくなるということです。大きくなった引力は直接地震を起こすほどの大きさではないが、何らかの影響を与えていると思われるそうです。

 なんか、言われてみればそうだよね、という感じがする結果ですね。それをきちんと調べるのが重要なのですが。

 

おわりです。

2016年10月29日の読売新聞の感想

まぁ今日は書かなくてもいいやが続いて10日も空けてしまいました。さして問題はないんですけれども。

 

DNA鑑定検体 誤焼却

 シベリア抑留の死亡者の遺骨が、誤って焼却されてしまったそうです。これからDNA鑑定を行って身元を特定し、遺族のもとへと返される予定だったそうです。検体を置いておいたら、地元の作業員がたき火にしてしまったそうです。

 ハバロフスク地方のコムソモリスク・ナ・アムーレにある埋葬地からの遺骨で、2014年から5回にわたり遺骨収集作業が行われ、計209柱の遺骨が収集されました。そのうちの61柱の身元が特定できなくなったそうです。

 戦没者の遺骨収集は、今年三月に「戦没者遺骨収集推進法」が成立し、先の大戦で亡くなった方の遺骨を集める機運がついに大規模な行動へとつながっているのが現在の状況だそうです。

 これは返還を待ち望んでいた遺族からしたら大変なことだと思います。管理を担当していた厚生労働省は、誠意をもって謝罪の意を伝えていかなければなりません。が、しかし、非常に心ない発言になってしまいますが、DNA鑑定しないと誰のものかわからないようなものの焼失にどうしてそうまでこだわれるのだろうか、という感想を持ちました。もちろん、遠いシベリアの地で亡くなってしまい、その亡骸がきちんと葬られていない、きちんとしてあげたい、もう一度祖国に帰ってきてほしいという気持ちは理解できます。

 でも、もしも自分の親や兄弟が同じような状況だとして、自分は遺骨の返還を強く願えるだろうか、誰のかわからない骨がたくさんあって、「その中の一つがあなたのお母さんのものでしたよ、これがそうです」と渡されたとして、僕はそれになにか感じることができる自信がありません。

 あんまり関係ないんですけど、僕の姪が生まれたときに、喜んだ母から赤ん坊の写真がメールで送られてきました。それを見て、「へぇ~、こんな顔なんだな」と思いました。そのあとにまた母から、「さっきのは間違い!こっちが本物!」と別の赤ん坊の写真が送られてきて、どうせわかんないからどうでもいいやと思ったことがあります。

 

おわりです。

2016年10月19日の読売新聞の感想

液体ミルク 政府後押し

 最近新聞にこの話題がたびたび登場しています。液体ミルクは、粉ミルクよりも簡単に与えることができるために非常に便利なのですが、日本では認可されておらず使いたい人は海外から直に輸入するしかないという状況です。現在一般的な粉ミルクだと

①清潔な水が必要

②お湯を作れる環境が必要

③お湯で作った後人肌まで冷ますことが必要

と必要なことが多いです。緊急を要さない場合はこれでもいいのかもしれませんが、たとえば災害で避難中とか、慣れない人が面倒を見なければならないといった状況では困難が伴います。実際、このように液体ミルクが話題になったのは熊本の震災で液体ミルクが大活躍したからだそうです。

 認可の問題点として、品質や製品管理がきちんとできるか、製造や輸送コストに見合った需要が見込めるかの二点があるようです。出せば売れるんじゃないかなと思いますが、品質の担保はなかなかの課題だろうとも思います。海外製のものはあまりよくないものも多いそうです。

 やっぱり、これだけ便利になっている世の中ですし、より便利な方法があるのならば導入していくといいと思います。災害時に役立ったという実績があるのですから、需要が見込めないことはないと思いました。

 

社説 ユネスコと日本 記憶遺産の政治利用を許すな

 南京大虐殺の資料がユネスコの記憶遺産に認められたことがあってか、日本からの分担金の拠出が遅れているそうです。政府はきちんとした説明はしていませんが、まぁそういう理由だろうとのことでした。記事の論調は、日本のやりかたは妥当であり、政府もきちんとこういう理由で拠出を遅らせていますという説明をしたほうがいいというものでした。

 ユネスコの政治利用を許さないために、ユネスコの今後の動きを政治的に制御しようとするのは、いいのかなぁと思いました。もちろん件の資料の認定に不透明な点が多いのに対する抗議という意味は分かるんですけど、こんなことしちゃったらなんでもありになっちゃいませんか?

 

四季

 これは新聞の2面にいつも載っている、俳句や短歌を写真付きで紹介するコーナーです。今日載っていた短歌が好きだったので引用します。

 ドーナツの穴のむこうはいつも雨せかいはみんな錯覚である

 (杉谷麻衣さん 歌集『青を泳ぐ。』より)

 ドーナツを覗くというなんてことのない小さな動きの中に、せかいの性質を見出しています。もちろん覗いた先がかならず雨になっている、なんてことは絶対になくて、きっとそのときはちょうど雨だっただけなんでしょう。でも、「ドーナツの穴のむこう」に見えた「せかい」が「いつも雨」と感じてしまったのです。頭では錯覚であるとわかっていながらにして思ってしまうこと。それこそがせかいなのである、ということをとっても遠慮深く主張している歌だと感じました。

 

韓国就活生 日本にも照準

 見出しの通りのことが起きているようです。韓国の財閥系の大企業は、毎年6~7万人から新規採用者を選ぶそうです。でも試験を通過するのはその1割以下(といっても6-7000人ですから多いですね)であり、その受け皿となる優良中小企業が少ないため正社員になる人が少ないそうです。なんと大卒者の半数以上が正社員になれないそうです。日本企業は、韓国で会社説明会を開くなどアピールの機会を増やしているそうです。韓国人からは、日本企業には安定感があるということで人気があり、日本企業も兵役で培われているであろう忍耐強さや適応力に期待できると熱い視線を送っているみたいです。

 韓国では受験戦争が過熱しているという話は聞いていましたが、就職事情がこんな感じなんですね。そりゃあ過熱もするわい、と思いました。

 

人生案内 息子が元夫との暮らし望む

 40代の会社員女性からの相談。今高3の息子が2歳の時に離婚し、それまで女手一つで育ててきた。家の手伝いなどもきちんとさせて、助け合って生活してきたと考えている。そんななかで、息子が小3のころから元夫のところへ月2回行くようになった。そのときから、「向こうでは手伝ってなど言われない」などというようになり、ケンカになるし、それ以外にもいろいろと甘やかされているようで、元夫の家で暮らしたい、とまで言う。一生懸命育ててきたつもりなのに、子供の心が離れてしまって悲しい。

 哲学者 鷲田清一さんの回答。それはとても悲しいことと思います。あなたのふるまいはとてもきちんとしていて、賞賛に値します。しかし、息子さんはどう感じてそのような行動をとっているのか。ただただ易きに流れているともとれますが、あなたの献身が重すぎると感じているのかも。わかりませんが。元夫の側も、息子さんを思ってそのようなふるまいをしているはずです。息子さんの人生は息子さんのものなので、彼がどのような選択をしたかを引き受けていくようにするしかありません。それを踏まえて応援するとしたら、何ができるかを考えていきましょう。

 非常にしっかりした回答だと久しぶりに思いました。質問者さんの置かれている状況はかなり同情してしまいます。が、しかし、鷲田さんの言う通りでもあります。でも、このような状況だと、たぶん一旦元夫のところに行ってしばらく暮らしたら、お母さんのところに戻りたくなるんじゃないのかなぁ。それは僕がマザコンだからそう思うだけでしょうか。

 

五輪会談 異例の全面公開

 この記事に関しては特別大きな感想はないですが、一個気になりました。小見出しに「バッハ氏「モッタイナイ」」というのがありました。外国人の日本語の発言をカタカナで書くの差別っぽい感じがします。紙面の都合上仕方ないのかもしれませんが、カタカナでなくアルファベットで書くかひらがなもしくは漢字で表記してもいいんじゃ、と思いました。

 

おわりです。今日の新聞は読みごたえがあって、感想を書きたい記事が多かったです。書いたもののほかにもいくつかありましたが疲れたのでこれで終わります。

2016年10月17日の読売新聞の感想

日ハム 日本シリーズ

 北海道日本ハムファイターズが、日本シリーズ進出を決めたそうです。大谷投手が登板し、165km/hの球を4回も投げたそうです。打線もきちんと機能し、7-4で日ハムの勝利だったみたいです。

 あんまりプロ野球は追ってないのですがどこのチームのファンかと聞かれると日ハムと言っています。それは僕が北海道出身だからです。そういうわけで、追ってないなりに耳に入ってくる情報から、今年の日ハムはとってもかっこいい感じに仕上がっているみたいで、誇らしい気持ちです。特に大谷選手は強すぎて笑ってしまいますね。

 

老いも若きも最善を追求

 最近最年少でプロ棋士になった藤井聡太四段と、それまで最年少プロ棋士記録を持っていた加藤一二三九段の対談記事が載っていました。

 きっと載っていたのは対談のごくごく一部なんだと思うのですが、なんかあんまり会話がかみ合ってなくって面白かったです。

 

読売歌壇・俳壇

 今週はこの歌がいいと思いました。

 女子たちはグルでぼくらに隠してる月で過ごした日々のあること

 (上尾市 関根裕治さん 選者:俵万智さん)

 男子・女子の二項対立が懐かしく思える昨今、相手方の隠していることに思いをはせるこの歌が、僕にとってとてもよく見えました。女子たちが月で過ごした日々があるに違いないと、ぼくらは思っているし、少しのうらやましさもある。その「うらやましいと思うこと」は、自分たちには見せびらかせるような思い出がない、という主体の自己認識を感じさせます。そして、女子たちのなかにはきっと、ぼくの好きな子がいるんです。だから「月で過ごした日々」なんて美しい印象をもった推測がなされるのでしょう。

 でも、一方で女子たちもぼくらが何かを隠していると思っているのかもしれません。作中主体は「女子たち」、「ぼくら」、なんて言っていますがそれは照れ隠しで、ほんとうは「あの子」、「ぼく」として語りたい秘めたる恋心があると見ました。それを、「女子たち」、「ぼくら」と個を薄めることで照れを隠そうとしているのです。

 

 俳句はこれが好きです。

 舞い立たんほどに鈴虫鳴きしきる

 (神奈川県 大久保武さん 選者:矢島渚男さん)

 舞い立つほどの虫の声。そんな季節がやってきましたね。ひんやりとした秋の夜の空気に流れる鈴虫の音は、高校生のころを思い出させてくれます。

 

最近どしどし歌会に参加していて、きちんと評をすることの練習が必要だなと思ってきちんと書いてみました。

 

おわりです。

2016年10月16日の読売新聞の感想

地球を読む 広がる「虚偽」で世論誘導

 慶応大学教授細谷雄一さんの論説。近頃どこの国でも、真偽のほどは定かではない(むしろウソの)ビビッドな情報を流布することで市民の感情を煽り、状況を自分たちの望む方向へと持っていこうとする政治手法が横行しているそうです。これを「スピン(情報操作)」といい、このスピンが横行するようになった政治の世界は「真実後」とよばれているようです。

 細谷教授は、イギリスのEU離脱にもスピンが行われていたことを指摘しています。残留派だったキャメロン首相が可能な限り客観的なデータを準備し公開(3000ページにも及ぶ文書!)した一方、離脱派の議員はウソのデータ(英国の法律の75%はEUで立法されている、EUに支払っている拠出金は3.5億ポンドである(実際はその1/3ほど))を流布しており、それがイギリスの国民投票の結果を大きく左右したということです。日本でも安保法制が取りざたされている際の、徴兵制の強調などは「真実後の政治」と考えてよいと書いてありました。

 信頼を得るには行動の積み重ねが必要で、それには時間がかかるものですから、長期的な目でものを考えなければいけないのですがいろんなものの入れ替わりや競争が激しすぎて無理なんじゃないかなぁと思います。

 

論点スペシャル 大隅教授が鳴らす警鐘

 ノーベル賞を受賞した大隅良典東工大栄誉教授が、基礎研究に従事する研究者たちの未来を案じるような発言をしています。それを受けて3人の識者が意見を寄せています。

 東工大学長の三島良直さんは「有力な教授の獲得した資金を基礎研究に振り向けること、予算の透明化と各研究室から家賃を取ることで節約するという二点で研究費の問題にコミットしようとしている。現在のゆとりのない研究環境を、10年、20年の展望で変えていきたい」と述べていました。

 経団連産学官連携推進部会長の永里善彦さんは「日本の大学はどこにどれだけどのように人材と資金が投入されたかを透明化したり、明確な目標を立てたり、界隈にどんな研究者がいてどんな研究が行われているかを明確に知らせていくなどビジネス的な姿勢をもうすこし伸ばさねばならない」と述べていました。

 東京大学教授で社会学者の吉見俊哉さんは「『役に立つ』には『目的遂行型』と『価値創造型』の2種類ある。後者は価値や目的自体を新たに創り出す有用性であり、そのような研究には文系・理系ともに予算が付きにくい。その結果、有能な研究者が食うに困るような状況ができている。国は、長期的な視点で大学院生の定員を絞り込んででも長い目で教育や研究を支えていくべきだ」と述べていました。

 吉見さん以外は全く大隅先生の話をあまり理解できていないと思いました。三島さんは東工大の全研究者を絞り上げていますということしか言っていないし、永里さんは基礎研究でも役に立てと言っています。その中で吉見先生はきちんとした状況認識の下で方策を提案していて納得感がありました。とはいえ、よくわからないものにジャブジャブお金をつぎ込むわけにもいかないので永里さんの主張は理解はできますし、それは大学側も気を付けたほうがいいことだとも思います。

 

おわりです。