読売新聞の感想

読売新聞を読んで思ったことを書きます。

2017年4月29日の読売新聞の感想

解説スペシャル ゲノム編集 もろ刃の剣

 最近話題のゲノム編集技術の現状と問題点について解説されている記事でした。ゲノム編集は、非常に簡単に(といっても面倒な工程はありますが)遺伝子改変ができる技術です。以前の技術に比べて、狙った部分を精度よくいじくることができるのでかなり革新的です。とはいえ、その改変精度は100%ではないので、思わぬ遺伝子変異が入り重篤な結果を引き起こすことは十分あり得ます。また、いわゆる「デザイナーベビー」の誕生には倫理的な問題があります。

 北大のある教授は「偏った価値観に基づき、特定の外見や能力を求める改変が(何世代も)繰り返されれば、人類の多様性が失われかねない」と述べているそうです。

米・英・中国では、ゲノム編集技術の研究に関する指針が示されていて、ゲノム編集した受精卵を子宮に戻す臨床応用は軒並み禁止されていますが、日本にはいま、全く規制がない状態だそうです。かろうじて、国の生命倫理専門調査会が「受精卵へのゲノム編集の臨床利用は容認できない」という見解を示しているだけです。そのため究極的には、日本国内で「デザイナーベビー」を産み出すことができます。

 ゲノム編集技術は非常に便利なので、人間以外への応用は規制されないほうがいいと思っています。個人的には、「デザイナーベビー」は気持ち悪くて嫌なので禁止してほしいです。ただ、記事にあった北大教授の意見にちょっと疑問を持ちました。

 人類の多様性は、デザイナーベビーの技術があるとないとに関わらず変わらないと思います。完全な仕様書があって、全部の人間をその通りに寸分たがわず作ります、というのであればその懸念もわかりますが、そこまでどこもかしこも改変するわけでなし、ただ一種類のDNA配列に落ち着くなんてことはないと思われます。また、人類の多様性は遺伝子配列だけに依存しておらず、その時々の価値観が影響するはずです。仮に、全人類が同じ見た目で同じ能力になったとしても、その中に他者との差別化を図りたくてしょうがない個体は絶対に登場し、その個体はゲノム編集技術を使って変化を望むでしょう。それが様々な場所で同時多発的に起こると考えられるので、逆に多様性は増すことも考えられます。つまり僕が言いたいのは、多様性が失われてしまうという反論は無理筋だということです。

 

時代の証言者 湯川れい子2⃣  心躍る大物インタビュー

 ジャズ評論家湯川れい子さんのこれまでを語る連載記事。25歳のとき、当時のジャズスター アート・ブレイキーさんと、ザ・ジャズ・メッセンジャーズというグループのインタビューをお願いされたそうです。英語もよくわからない状態でしたが、即仕事を受け、当時大変高価だったテープレコーダーを買いインタビューに臨んだそうです。後日録音を聞くと、アート・ブレイキーさんが答えている最中、言葉を探して考えている途中で、次の質問をしてしまっていたことがわかって冷や汗をかいたというエピソードも。

 文章の中で、若いからできた、というようなことが書いてありましたが、そんなに年が離れていない僕にはない胆力と行動力だ…とかなり尊敬の念を抱きました。

 

人生案内 夫に親孝行を控えてほしい

 50代後半の主婦からの相談。夫は両親を大切にしており、父の日や母の日、誕生日や長寿祝いには両親の家に行こうと言い出しますが、私はそれで不安定な気持ちになります。私の両親はすでに亡くなっておりますが、十分な親孝行ができなかったという思いがあり、さらに夫は私の両親の命日を忘れているのです。ひがみのような気持ちが消えません。これを夫に伝えていいものかどうか悩んでいます。

 作家の久田恵さんの回答。お気持ちは察しますが、それはあなた自身の問題です。自分は親孝行できなかったから夫には控えてほしいというのは筋違い。たしかに、ご両親の命日を忘れられてしまっているのは問題ですが、今親孝行につき合いたくないと思っているあなたとではどっこいどっこいです。亡くなったご両親は、あなたの幸せを願っていたはずですし、夫に協力する優しさを願っているのではないでしょうか。今の幸せを大事にメンテナンスしてください。

 この相談者さんのような気持ちは、万人に受け入れられるものではなさそうですが、理解できます。もちろん身勝手な思いではあるのですが、身勝手な思いを抱くまでの事情を知ると見え方も変わる、ということも多くあります。上手く心に折り合いをつけて夫婦仲良くやっていってほしいですね。

 

おわりです。