読売新聞の感想

読売新聞を読んで思ったことを書きます。

2017年1月16日の読売新聞の感想

北方領土訪問 空路も活用

 政府は元島民が北方4島へ渡航する際、飛行機を使えるように取り計らうことを検討し始めたそうです。現在は専用チャーター船に乗って国後島の古釜布沖で出入域手続きを行い、それから目的地へと行く必要があるそうです。また、冬は波が高いので、渡航は5~10月ごろに限られているそうです。制度が変われば、北海道中標津空港国後島メンデレーエフ空港択捉島ヤースヌイ空港を飛行機で行き来できるようになり、元島民の負担軽減につながるそうです。

 そんなに大変でも、渡航したい人がたくさんいたんだということに驚き、それを知っている人はどれくらいいるんだろう、と思いました。あと、メンデレーエフ空港なんていうすごい名前の空港が北方領土にあるなんて言われると、領土返還なんてすごく遠いんじゃないか、と思います。メンデレーエフは、元素周期表の発案者で、ロシアの有名な化学者です。

 

再犯防止へ教育拡充

 刑務作業を義務としている懲役刑の代わりに、再犯防止を目的とする新たな刑罰の創設が議論される方針だそうです。

 そもそもちゃんと認識していなかったのですが、日本の刑罰には禁錮刑と懲役刑があるようです。前者は過失犯や政治犯に課せられる刑罰で、後者は殺人や傷害など多くの犯罪が対象となっているそうです。刑務所にいる人の高齢化が進んでおり、満足に刑務作業ができない場合もあるそうです。認知症の人には折り紙を折っては戻し、追っては戻しさせるとか、工場で黙とうさせ続けるとかいうこともあるそう。ちなみに、受刑者の作業時間は1日最長8時間だそうです。

 なぜ新規の刑罰を議論することになったかというと、少年法の改正で18,19歳の若者が成人扱いされることがきっかけだそうです。これまで18,19歳の受刑者には少年院で手厚い矯正教育を施してきたものの、成人扱いされてしまうと刑務作業の義務が発生し、教育に時間が割けないという問題が生じるとのこと。したがって、その義務をやめて、受刑者によって処遇を決定することができるようにしたい、というのが狙いだそうです。

 ただ、このような教育的処遇を行うには、職員の増員や専門性向上などの経済的問題があります。さらに、被害者感情として、加害者の更生よりも、当然ながら応報を第一に求めますからそのあたりにも配慮が必要です。

 海外、特にヨーロッパでは、社会内刑罰が用意されている国が多いみたいです。刑務所に閉じ込めないで、公益に奉仕する無償労働をさせるとか、住める区域が限定されるとか、そういったものです。

 かなり議論が複雑になりそうな問題ですね。受刑者の多くは、他人を不当に傷つけた人たちですので、そのような人たちが屋根もあり、はたらく場所もあり、食事も保証されたところで生きるのを、私たちの税金から賄うというのはあまり気持ちのいいことではありません。特に、教育・更生制度にかかる費用なんて自分の身近な人の学資や生活費に回してほしいとさえ思います。教育・更生制度によって公益に資するしっかりした人が社会に出ることが有益であることを考慮しても、感情的には不満が残ります。

 とはいえ、いつ自分が逆の立場にならないとも限りませんし、やむにやまれぬ事情で受刑者となってしまった人もいるに違いありません。また、若いうちに少しでも教育を受けておかないとその後本当に大変だと思うし、高齢受刑者に無意味な作業を義務付けるのも不毛なので制度自体には賛成です。でも、犯罪を犯したほうが得ということはあってはならないですから、必要最低限にとどめるべきだと思います。

 

ひとくくりにできない現代の若者

 東京学芸大の浅野智彦教授らの近刊「<若者>の溶解」(勁草書房)の内容に少し触れたコラム。これによると、「高度成長期から1990年代くらいまでの若者は、ひとくくりに考えやすかったがその時期が特殊である」ということが書いてあって、そうかもね、と思いました。

 その時代の前の若者の生き方は生まれによってかなり分裂していたし、現在は価値観が多様であるがために統一的な理解の仕方が存在しない、とも。

 その「ひとくくりにできた時代」もひとくくりにできたと思ってるだけでほんとうにはくくれてなかったんじゃないの?という疑念があります。

 

読売歌壇・俳壇

 今週はこの歌が好きでした。

 数学のノートに『好き』を書いたなら好きが3乗すると思った

 (横浜市 長田稜真さん 選者:俵万智さん)

 こんな脈絡のない思い付きも、一つの詩になってしまうなんてとっても素敵に思います。この言葉には「だから書いたんです」という言葉が続く。誰に言っているんでしょうね。好きが3乗したらどうなってしまうんだろうか。

 と、ここまで考えたら解釈に幅が出ました。とっても好きな気持ちがさらに大きくなるんでなく、しぼみかけている気持ちを持ち直したくって好きと書いたのかも。そうすると、そうすると、とってもかなしい!好きでいたい、好きでいたい、と考えて、数学の時間にも考えて、藁にも縋る思いで…。かなしいじゃないですか。

 

 俳句はこれです。

 二三枚落葉拾ひてみたりけり

 (小金井市 高橋広子さん 選者:矢島渚男さん)

 落ち葉を二三枚拾ってみた、というただそれだけの句なのに、なんだかとってもビジュアルに訴えかけてきました。みたりけり、の力が強いのかもしれないです。落葉拾ひてみたりけりのリズムがとってもいいのかもしれません。なんだかわかりませんが、好きでした。

 今週の俳句は好きなのが多くて難儀しました。聖菓という季語(クリスマスケーキという意味)を知ることができました。

 

おわりです。