読売新聞の感想

読売新聞を読んで思ったことを書きます。

2016年12月23日の読売新聞の感想

2017年度予算案閣議決定 主な事業のポイント

 22日に政府が2017年度の予算案を決定しました。その内容が見開き2面を使ってまとめられています。

 一億総活躍社会関連の予算では、保育士・介護職員の待遇改善推進に振り向けられる分が確保されているようです。保育士関連では544億円で、給与を全員2%引き上げ(月額平均6000円)るほか、実務経験に応じた役職を割り当てて賃金の底上げを図るそうです。ほかにも、働き方改革関連では2000億円が振り分けられたそうです。

 教育関連では給付型奨学金創設にあたって70億円を基金として確保するそうです。

 僕が結婚して子供を持つころには保育園余ってまっせ状態になっててほしいので、この勢いでずんずんやってほしいです。

 

論点スペシャ司法修習生給費、復活の是非

 司法修習生の給費制度が復活することが閣議決定されました。月額13.5万円の支給で、家賃を支払っている場合は3.5万円上乗せだそうです。司法修習生の給費は5年前に廃止され、貸与に切り替えられたのですが、今回の決定で復活することになったようです。司法修習生は、司法試験合格者が各地方裁判所に派遣され1年間の修習を行うのですが、その間副業やアルバイトは許されないそうです。また、カリキュラムがかつては2年だったけれどもだんだん短縮して現在の1年間になっています。そのことで、修習生は司法試験予備校などに通い、足りない分を補う必要があるとのことです。(司法修習生のことについてはwikipediaを引きました。)司法試験予備校にどれくらいのお金を払うのかはよくわかりませんが10-30万円くらいだと考えて記事を読みました。

給費制度復活について3人の識者が意見を述べていました。

 元内閣法制局長官 阪田雅裕さんは、次のように述べます。給費にする必要はなく貸与でも十分返済は可能だと考えられるし、給費にすることが法曹人口の増加にどれだけ寄与するかは疑問。理想的には給費がいいが、限られた財源の中で優先すべきとは思えない。そもそも、こういう給費にお金を使うのではなく、教育内容の充実に予算を振り向けるべきだ。

 政策研究大学院大学福井秀夫さんは以下のように言っています。今回の決定は、司法制度改革の理念に逆行していて国民の利益に反する。司法修習生や若手弁護士の経済的困窮が法曹志望者の減少につながっているという意見もあるが、それは貸与で十分支援できる。ほかの職業に就く人には支援がないのに、司法従事者にだけこのような制度があるのはおかしいので、政府は再考すべきだ。

 日弁連副会長 中村隆さんは次のように述べます。現在の法曹志望者の減少は、法曹になるまでの費用が高すぎることだ。司法修習生はアルバイトはできないし、修習期間の貸与に加え、司法試験合格までに通う大学・大学院の学費生活費に加えて奨学金の返済をしなければならない。600万円以上の負債を負う人も少なくない。また、弁護士の初年度所得の平均は2008年に624万円だったところが、2015年には327万円と減少しているうえ、退職金もないので一般の会社員などと比べて割のいい仕事でもない。今回の決定は、20万円台の給付を念頭に置いていた我々(日弁連)にとっては満額回答とはならないが、一歩前進したと言える。

 バランスのとれた意見が集まっているなぁと思いました。僕自身は給費制は肯定的にみています。法曹になるには、大学・法科大学院は必修で、さらに司法試験のために予備校に通う必要があるとよく聞きます。最後の日弁連副会長中村隆さんの話が本当であれば、僕なら絶対にあきらめます。

 自分は理系の大学・大学院に通いましたが、生活困窮とは言わないまでも、増えていく借金(奨学金)におびえながら将来の不安にさいなまれて暮らしていました。自分が真面目に研究者を目指さなかったのはそれも大きな要因の一つです。その肌感覚と照らし合わせると、司法試験合格後の研修のような制度でもさらに借金が増えるのか、と絶望的な気持ちになります。

 そこで、給費制があると聞けば、そこまでがんばればとりあえず借金の増加は止まるので一つの中継地点的な感じになって少しは不安感が和らぎます。大学院博士課程の学生の一部は、学振という制度で月額20万円くらいもらえますが、それに似たようなものですね。

 人数の減少が問題となっているのなら、それはやはりお金を出さないと人は集まらないと思います。高邁な精神だけがあり、目標にひたすら前進するような人は、素晴らしいように見えますが現実的な問題を全く解決できないと思います。お金に基づいた損得勘定もできないと、法律に基づいた人助けはかなりやりにくいように思います。

 

おわりです。