2016年8月9日の読売新聞の感想
読売歌壇・俳壇
今週はこの歌。
父に添ひ母がわれよぶやはらかな声よみがへる蛍とぶ夜
(東京都 杉中元敏さん 選者:岡野弘彦さん)
浮かんだ情景がかなりノスタルジックで、そしてかなり基本的な幸せの形であってそれゆえ深く打たれました。今週は他にもいい歌がいくつかあったんですけど、いちばん最初に読んだこの歌がやっぱり良いなと思いました。
俳句はこれです。
一人でも生きねばならぬ胡瓜もむ
(東京都 白木静子さん 選者:矢島渚男さん)
今週も胡瓜の句がいいなと思いました。べつに特に胡瓜が好きなわけではないのですが。「一人でも生きねば」と人が思うときに、一番大事なのは食べものだ!というところが強く強調されてていいと思いました。ひと目見たとき、奥さんに先立たれたおじいさんの作かなぁと思ったのですが、作者は女性だったので、その裏切り感と、それでも納得のいく感じが相まって良さを感じました。
おわりです。
月曜日はなんやかやあんまり真剣に新聞を読まないことが多いので、短歌と俳句の鑑賞に終始してしまいがちです。